(アメリカ合州国)アンナ・バルツァーさん ハローキティ・ストア出店中止を求める要請書

以下の文章は、アメリカでパレスチナ連帯運動に取り組んでおられ、2010年11月には日本にも来日されたアンナ・バルツァーさんからサンリオ宛に送られた要請書です。



2011年6月21日

辻信太郎様/株式会社サンリオ御中

イスラエルパレスチナにおけるすべての人々に自由と平等が保障されるべきだと信じる一人のユダヤアメリカ人として、私は、「ハローキティ・ストア」をイスラエルにつくらないよう、貴社に要請します。

イスラエルは、多くの手段を通じてパレスチナの人々の基本的人権を侵害しています。

  • 西岸地区のパレスチナ人は、人種隔離された道路や法システム、日々の暴力や嫌がらせによって特徴づけられる残虐な軍事占領の下で生活しています。非暴力的な民衆抵抗の指導者を含め、何千人ものパレスチナ人の人権活動家が裁判もないまま投獄されています。イスラエルの違法な入植地や「壁」によって、土地は奪われ、パレスチナの農民や家族達は、学校や職場、病院に行くことができず、生活必需品を得ることもできずにいます。西岸地区は、いくつもの「バンツースタン」に分断されてしまっています。
  • ガザ地区パレスチナ人は、イスラエルによる封鎖の下で生活しています。国連パレスチナ難民救済機関のスポークスマンであるクリス・ガンネスによると、ガザの封鎖は、「何十万人もの、本来生産的であるはずの人々を絶対的な貧困に追いやり、絶望的な生活に陥れている」のです。国際法に違反するかたちで、イスラエルは、ガザの市民、女性や子供達に対し、白リン弾アメリカ製の兵器を系統的に使用しています。そして、何千人もの人々を殺害し、学校や病院、水道などの基本的インフラを破壊しています。
  • 何百万人ものパレスチナ人のムスリム、そしてクリスチャンは、1948年のイスラエル建国の際に彼らの家族が故郷から避難、あるいは追放されて以来、難民生活を強いられています。イスラエルは、彼らがただユダヤ人でなはいというだけの理由で、これらの難民たちが、自分の家や土地に帰還するという、国際的に認められた権利を否定し続けています。


イスラエルへの出店は、イスラエルアパルトヘイト政策を正当なものとする印象を与えるものです。

アパルトヘイト時代の南アフリカの場合と同じように、世界中の個人や組織が、イスラエルに対して、アパルトヘイト国家と「通常のビジネス」を行うことはできないということを示すことは、決定的に重要なことです。

ありがとうございます。

アンナ・バルツァー


【原文】

Dear Shintaro Tsuji and Sanrio Company, Ltd.,

As a Jewish American who believes in freedom and equal rights for all people of Israel/Palestine, I urge you not to open a Helly Kitty store in Israel. Israel is violating the fundamental human rights of the Palestinian people in a myriad of ways:

  • Palestinians in the West Bank live under a brutal military occupation characterized by segregated roads and legal systems, daily violence, and humiliation. Thousands of Palestinian human rights activists, including leaders of the nonviolent popular struggle, have been imprisoned, many without charge or trial. Israel’s illegal settlements and Wall confiscate land and separate Palestinian farmers and families from their schools, jobs, hospitals, and livelihoods, dividing the West Bank into Bantustans.
  • Palestinians in the Gaza Strip live under an Israeli blockade that “deliberately impoverishes … and condemns hundreds of thousands of potentially productive people to a life of destitution,” according to Chris Gunness, spokesperson for UN Relief and Works Agency. Contrary to international law, Israel has systematically employed white phosphorous and U.S. weapons against civilian men, women, and children in Gaza, killing thousands and destroying basic infrastructure such as schools, hospitals, and water sources.
  • As non-Jewish citizens, Palestinians inside Israel live under an apartheid system that denies them equal rights to their Jewish counterparts. Israel’s apartheid laws restrict land ownership, housing, employment, and marriage, in many ways resembling Jim Crow.
  • Millions of Palestinian Muslims and Christians live in exile since their families fled or were expelled in 1948 during Israel’s creation. Israel has denied these refugees their internationally-recognized right to return to their homes and lands, simply because they are not Jewish.

Opening a store in Israel would lend an air of legitimacy to Israel's apartheid policies.

As was the case with Apartheid South Africa, it's critical that individuals and organizations around the world show Israel that there can be NO "business as usual" with an apartheid state.

Thank you,

Anna Baltzer

(イスラエル)BOYCOTT! グループ イスラエル市民からの要請

イスラエル国内でBDSキャンペーンに取り組む「BOYCOTT!」グループからもサンリオ宛に要請文が送られています。



2011年7月4日
株式会社サンリオ代表取締役および役員の皆様

イスラエル市民からの要請
――無印良品を見習い、アパルトヘイト国家イスラエルハローキティ・ストアを出店しないでください!

拝啓

私たちはイスラエル市民によって構成されているグループです。私たちは、イスラエルの諸政策への抗議として行われているパレスチナ市民社会からのボイコット・資本引揚げ・経済制裁(BDS)の呼びかけを支持しています。私たちは、貴社がイスラエルフランチャイズ企業リーダー・ブランズと提携してギヴアタイムにハローキティ・ストアを出店し、さらに他のイスラエルの町にも出店するという決定をされたことについて、大変残念なことだと考えています。貴社のこの決定は、イスラエルが何百もの国連決議を無視して、パレスチナ人に対する残虐な占領とアパルトヘイト政策を強化している、まさにそのただ中でなされています。

イスラエルに出店することがイスラエルアパルトヘイト政策を利すると考える大きな理由のひとつは非常に単純なものです:イスラエルの軍事占領下で暮らしているパレスチナ人達は、貴社が出店を計画されている町の中に入ることさえも許されていないのです!

西岸地区における移動制限は、ギヴアタイム(あるいはテルアヴィヴ)における「普通のビジネス」とパレスチナ被占領地におけるアパルトヘイトとのあいだに見られる際立った差異を示す一例に過ぎません。イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害は、そうした不正を遙かに超えたものです:

パレスチナの村々に対して毎晩のように行われている暴力的な侵攻、11歳の子供さえ対象とする系統的な逮捕・拘束、非暴力のデモ参加者の殺害――これらは、バラバラに行われている残虐行為ではありません。これらは、ひとつの抑圧システムとして機能しており、いかなる批判や改善を求める国際機関による勧告によっても実質的に変わることはなかったのです。

イスラエルによる人権侵害は、国連、あるいは、アムネスティ・インターナショナルやオクスファムなど、高く評価されている人権団体によって立証されており、国際的な司法機関によって違法であると認定されています。イスラエルに対する確固とした具体的圧力の必要は、ガザ地区における「封鎖の即時無条件かつ完全な解除」をもとめた、21の人権団体による最近のレポートのなかでも強調されていることです。ガザにおいてイスラエルは生活物資の搬入に対して「熟慮された制限」と呼ばれる政策を行っています。そこでは、住民たちを栄養失調寸前の状態に留め置くために、搬入される食糧の量が数学的手法によって計算され、必要とされる物資の量に対し、平均して3分の1以下しか許可されていないのです。

イスラエルは、国際社会によってもはや容認されてはならない人種主義や民族浄化を実行し、また、合法化しています。かつて南アフリカに対して必要とされたときと同様、イスラエルに諸政策に対して国際的な圧力をかけることが強く必要とされています。昨年、日本企業の株式会社良品計画が、私たちの要請、そして世界中からの要請を聞き入れ、イスラエルに出店しないことを決めたとき、うれしく思いました。

かつて、南アフリカが国連の経済制裁下にあったとき、日本企業は同国の企業と広範なビジネスを行い、その誤った行為は厳しい批判にさらされました。私たちは、貴社がアパルトヘイト国家イスラエルにチェーン店をもつ最初の日本企業になることによって、不名誉を被ることにならないよう心から願っています。

そして何よりも、人間としての基本的権利と尊厳を得るために闘っているパレスチナ人達の声をどうか聞いてください。彼等は、人種差別・占領・アパルトヘイトについてイスラエルが何ら処罰の対象とされないという歴史を終わらせることを要求しているのです。

私たちは、貴社がイスラエルハローキティ・ストアを出店する計画を再考されることを強く要請します!

この件について、貴社からの返信をお待ちしています。

敬具

イリス・バル
ロニー・バルカン
コニー・ハクバース
イリス・ヘフェツ
シル・ヘヴェル
ヤエル・カフン
リアド・カントロウィッチ
アッサフ・キンツェル
レラ・マザリ
エド・メディクス
ドロシー・ナオル博士
オフェル・ネイマン
ジョナサン・ポラック
レネン・ラズ
ヨナタン・シャピラ
ヨナタン・スタンツァック
エイナト・ワイツマン

英語原文
http://boycottisrael.info/content/sanrio-please-follow-muji-and-refrain-opening-hello-kitty-stores-apartheid-israel

(東京)ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉他3団体 イスラエルにおける「ハローキティの店」開店に関する質問状

東京を中心に活動するミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉チェチェン・ニュースアジア太平洋資料センター核とミサイル防衛にNO! キャンペーンの4団体が連名で、イスラエルにおける「ハローキティの店」開店に関する質問状を7月9日付で送付しました。


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株式会社サンリオ 代表取締役社長
辻 信太郎様

私たちは、イスラエルによるパレスチナの軍事占領とパレスチナ人抑圧に反対し、イスラエルパレスチナの地で生きるすべての民族が対等に共存することを願い求める日本の市民です。
このたび私たちは、インターネット・サイト「ynet news」などにより、イスラエルで「ハローキティの店」がオープンするとの報道を目にしました。すでにイスラエルにはサンリオのキャラクターを用いた商品は流通しているようですが、御社の商品を扱う店舗がオープンするということは、影響力の点でこれまでにない大きな意味を持つかと思います。
私たちの中には、子どもの頃にサンリオ商品を愛用しており、自らの子ども時代の思い出の一部として、その記憶を大切にもち続けている人もいます。3月11日の震災後、東北地方への支援物資の中には、きっとたくさんのサンリオのキャラクター商品が入っていたことでしょう。御社の開発してきたキャラクターや、それらに関わるストーリーは、子どもたちの夢やあこがれを代弁する存在であり、世代や性別を越えて多くの人たちの共感を得ていると思います。
その御社が、パレスチナの地を軍事力で支配し、子どもを含む多くの民間人を殺害し続けているイスラエルの企業と提携し、かの地での市場開拓を目指すことについては、私たちにとって衝撃であり、たいへんな違和感を覚えております。サンリオもまた「儲かりさえすればいい」という利益至上主義に立つのかと残念な気持ちになりますし、今後は「キティちゃん」を目にしても「キキ・ララ」に再会しても心がときめくことはないでしょう。日本を含め、国際社会の多くの市民たちが、サンリオに対して幻滅していくことを考えると、このたびの判断が御社に「利益」をもたらすことはあり得ないことを、御社にお伝えしたいと思います。

さて、イスラエルにおける「ハローキティの店」オープンに関して御社が何らの情報も開示されていないなかで、確認させて頂きたい点も多々あります。つきましてはご多忙のところたいへん恐縮ですが、以下の各項目につき、ご回答を頂けますよう、お願い申し上げます。市民・消費者の声に対し、誠意をもってお答え頂けるものと信じております。

1.イスラエルは1967年以来パレスチナを軍事占領し、パレスチナ人の人権侵害を続けており、ヨルダン川西岸地区における「分離壁」建設に関しては、国際司法裁判所から「占領地での分離壁建設は違反であり、中止・撤去すべき」との勧告的意見を言い渡されています。私たちはこのような事実から、イスラエルへの資本投下のみならず、日本企業のイスラエル企業との一切の提携、協力関係を認め難いと考えております。イスラエルの企業の利益は税としてイスラエル政府に還元され、占領地の維持を含むイスラエルの軍事予算として使われるからです。この点につき、御社のお考えをお聞かせ頂ければと思います。

2. イスラエルは2008年12月27日から3週間あまりにわたり、パレスチナガザ地区を大規模侵攻し、18歳未満の子ども313人を含む、1400人あまりのパレスチナ人を殺害しました。イスラエルはこの攻撃について一切謝罪を行っておらず、イスラエルパレスチナを軍事占領し続けている以上、このようなことがいつまた起こらないとも限りません(比較的小規模な軍事侵攻やパレスチナ人の殺害は頻繁に起きています)。このような国に御社が出店をされることは、子どもたちに愛され親しまれるキャラクターを数多く作り出してきた御社のイメージを大きく傷つけ、御社の企業活動への信頼を損なうものだと思います。この点につき、御社のお考えをお聞かせ頂ければと思います。

3. 現在イスラエル国会では、イスラエルに対する国際的なボイコットに対処することを目的とした「反ボイコット法案」が審議されています。これが法律として成立すると、イスラエル企業が入植地への製品販売を拒否した場合、処罰の対象となります。したがって法案が通過した場合、イスラエルにおける御社の提携企業が今後、軍事占領地内にある入植地に向けた業務展開を行う可能性も十分考えられますが、こうした現地事情についての調査はされているのかどうか、教えてください。

4.ここで言う入植地は、その建設自体が国際法違反であり、これは日本政府も認めるところです。したがって、御社がイスラエル企業と提携することは、入植地での経済活動という国際法違反の行為に対し、御社が直接協力することにつながります。このことは御社のコンプライアンス憲章にある「国内外の法令や社会規範及び会社規程を遵守」することと矛盾しますが、どうお考えになりますか。

5.また、イスラエルでの同法案の成立のいかんにかかわらず、既存の入植地の撤去の意思を示さないばかりか、入植地建設を続行するイスラエル企業との提携を行うこと自体、「世界中がみんな“なかよく”」との御社の理念とは相容れないと思います。「世界中がみんな“なかよく”」とは、少なくとも犯罪行為に目をつぶって誰とでもやみくもに「なかよく」することを目指すものではないはずですし、もしも御社がその理念を具体化しようとするのであれば、イスラエル占領政策によって被害を被っているパレスチナの人々、とりわけパレスチナの子どもたちにまず目が向けられるべきでしょう。この点につき、御社のお考えをお聞かせください。

日本の企業がイスラエルに出店することは、その企業のイスラエルへの友好的な姿勢を示すだけでなく、現地において「日本はイスラエルに友好的である」というメッセージとして機能します。イスラエルにおいて今後オープンする「ハローキティの店」の運営形態がどのようなものであれ(御社のフランチャイズ店であれ、単なる卸売り先であれ)、このような機能を果たしてしまうこと自体は変わりありません。イスラエルによる相次ぐ暴力に反対する日本の市民として、そのような関係に巻き込まれることに対し、私たちははかり知れない精神的苦痛を感じます。どうか私たちの懸念を真摯に受け止め、十分ご検討の上ご回答頂けますよう、よろしく申し上げます。
                                       2011年7月9日                                 
ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉  チェチェン・ニュース
アジア太平洋資料センター    核とミサイル防衛にNO! キャンペーン

(イギリス)パレスチナ連帯キャンペーン サンリオ・ショップのイスラエル出店についての公開書簡

(以下は、ロンドンのパレスチナ連帯キャンペーン[Palestine Solidarity Campaign]が公開した公開書簡の翻訳です)

日系企業である株式会社サンリオは、「ハロー・キティ」の店舗を6月末にイスラエルに開くことを計画しています。

パレスチナ連帯キャンペーンがハロー・キティの最高責任者に送った下記の公開書簡と同社の連絡先を参考にしながら、みなさんがサンリオに対して書簡を送ることを奨励します。イスラエルとの取引により、企業は不法な占領と共謀することになります。

Sanrio GmbH
 電話:+49-40-5477960
 ファックス:+49-40-5406347
 電子メール:web-info@sanrio.de

2011年6月15日

株式会社サンリオ代表取締社長 辻信太郎氏への公開書簡

辻信太郎 様

私たちはイスラエルが占領を終結させ、国際法を遵守するまで、貴社がハロー・キティの店舗をイスラエルに開かないことを求めるために、この手紙を書いています。

エルサレムを含むヨルダン川西岸地区ガザ地区パレスチナの被占領地)のすべてがイスラエル支配下にあります。イスラエルによる占領は、イスラエルヨルダン川西岸地区からの撤退を求めた国連安保理決議242号を含む国際法に抵触するものです。さらには、国連安保理決議446号はイスラエルの入植地には法的効力があるものではなく、中東における包括的かつ公正な、および持続的な平和を達成する上で重大な障壁となることを明確に述べています。イギリス政府もイスラエルの入植地は違法であると明確に、かつ繰り返し述べています。

パレスチナ市民社会の代表は、海外の団体や世界中の良心的な人々に対し、「アパルトヘイト時代に南アフリカに対して行われたものと同様の形で、イスラエルに対し幅広いボイコットが行うこと、および資本の引き上げを自ら進んで実施する」ことを求めてきました。

私たちは今やサンリオを含むすべての企業が確固とした態度をとり、イスラエルによって行われている占領や戦争犯罪を拒絶するときがやってきたのだと信じています。イスラエルと取引をすることによって、貴社はこれらの違法な建築物の財政的な実行性の維持を助けているのみならず、それらに対する正当性にも手を貸すことになっているのです。650万人以上の労働者を代表する(イギリスの労働組合である)労働組合会議(TUC)が、2010年度の総会で「(国際)法に抵触する入植地、占領および分離壁の建設から利益を得ている企業から資本の引き上げをし、商品をボイコットするよう、支部、雇用者、年金基金に積極的に呼びかけていく」方針を採択した理由は、そこにあるのです。

イスラエルパレスチナ人に対して行っている犯罪行為は、占領や入植地の建設だけではありません。イスラエル国籍を有するパレスチナ市民を孤立させるための措置や違法なガザの封鎖等を含む現在のイスラエル政府による政策は、1948年以降にパレスチナ人の人口の4分の3にあたる人々を追放してきたこと、虐殺、家屋破壊、土地の破壊、天然資源の収奪、土地の併合、大量逮捕、拷問、集団懲罰、その他数多くの人権侵害や国際法違反に続くものです。

アパルトヘイト時代の南アフリカに対して行ったボイコット、資本の引き上げ、制裁と同様に、イスラエル商品のボイコットは、団体や個人がイスラエルの犯罪に共謀するつもりがないことを示す明確なメッセージ送るのに効果的かつ平和的な手段であり、また徐々に普及しつつある手段となっています。

イスラエルと取引をする企業はどのようなものであっても、明確に占領から利潤を得ることになります。

それゆえに、イスラエル国際法を遵守するまで、私たちは先に日本の販売会社である無印良品イスラエルに店舗を開かないことを決めたその行為に貴社が続くことを求めます。

返信をお待ちしております。

敬具

サラ・コルボーン
パレスチナ連帯キャンペーン事務局長

原文:Palestine Solidarity Campaign Letter to 'Hello Kitty' CEO

(大阪)パレスチナの平和を考える会 アパルトヘイト国家イスラエルへの「サンリオ・ショップ」出店に関する公開質問書

大阪でBDSキャンペーンに取り組む「パレスチナの平和を考える会」が6月13日付でサンリオに送付した公開書簡です。
http://palestine-forum.org/doc/2011/hello-kitty.html



株式会社サンリオ 代表取締役社長 辻信太郎 様
cc : Sanrio GmbH 支配人 辻邦彦 様

私達は、イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害の問題について取り組んでいる市民団体です。

2011年6月2日付のイスラエル紙イェディオット・アハロノット紙の記事(ヘブライ語)によると、6月下旬、テル・アヴィヴにオープンする予定の店舗を第一号として、「ハロー・キティの店」をイスラエル国内18箇所(年内で8〜10箇所)に開く予定であるとされています。東京本社総務課の担当の方によれば、今回の計画は、サンリオのドイツ支社であるSanrio GmbHを通じての展開であり、詳細を関知されていないとのことでしたが、当然100%の親会社である貴社がこの件についての説明責任を有しておられると存じますので、本社宛てに質問書を送らせていただきます。

さて、貴社が進出しようとしているイスラエルは、パレスチナの違法占領を継続し、違法入植地の建設、ガザ地区の封鎖を継続するなど、多くの国際法・国連決議に違反し、パレスチナ人に対する人権抑圧を続けているアパルトヘイト国家です。2008年年末から09年1月にかけてガザ地区で400人以上の子どもを含む1400人以上の住民を殺害したこと、2010年5月、ガザ地区に支援物資を運ぼうとしていた支援船を公海上で襲撃し、9名の支援ボランティアを殺害したことは、記憶に新しいことかと存じます。

こうした戦争犯罪・人権蹂躙に対し、パレスチナ人だけでなく、イスラエル市民を含む世界中の平和を求める人々が抗議し、イスラエルに対するBDS(ボイコット・資本引き揚げ・経済制裁)キャンペーンを呼びかけています。こうした平和をもとめる広範な市民の呼びかけに真っ向から挑戦するかたちで、貴社がイスラエルへの積極的な経済進出を目指されていることについて、私達は、一市民、そしてサンリオ商品の一消費者として、強い疑問を感じざるを得ません。

貴社は、「サンリオ・コンプライアンス憲章」行動原則のなかで、(1)他人の物を盗まない、(2)暴力をふわない、(3)嘘をつかない、(4)法律を守る、などの原則を定められており、私達は、これを高く評価するものです。しかし、イスラエルは、これらの「普遍的な規範」のいずれに対しても著しく反した行動を取り続けています。とりわけ、(2)の小項目「1.すべての人が等しく有する基本的人権を尊重するとともに、‥‥国籍、人種、‥‥宗教‥‥などを理由とした差別や不利な取扱いを一切行いません」、(4)の小項目「1.国内外の法令や社会規範及び会社規程を遵守‥‥」については、貴社が同国に進出することで、貴社自身の手によって必然的に破られざるを得ないものになると私達は考えます。

多くの子供たちに愛されているキャラクターを生んできた貴社が、戦争犯罪アパルトヘイト政策に加担されようとしていることを深く憂慮し、以下の諸点につき、質問させていただきます。

  1. イスラエル戦争犯罪行為が世界中で非難されているなかで今回の出店計画が進められた経緯について詳しく教えてください。その際、イスラエルパレスチナ人に対して行っている深刻な差別・人権侵害行為についての検討は行われましたか?
  2. イスラエル入植地は、ジュネーブ第4条約をはじめとした国際法に対する重大な違反です。イスラエル入植地内に、サンリオ・ショップや、店舗内ブランド・コーナーが作られる可能性は契約上排除されていますか?
  3. 占領地のみならず、イスラエル国内においてもパレスチナ系市民に対する様々な人種差別が行われていることは、国連人種差別撤廃委員会の報告書などによって明らかとなっています。今回予定されている18店舗のうち、イスラエル国内のパレスチナ系市民が主な住民である町・地区に設置が予定されているものはありますか?
  4. 予定されている店舗で、イスラエル入植地からの配達注文には応じることになっていますか? 一方、西岸・ガザ地区パレスチナ人からの配達注文は可能となる予定ですか?
  5. 貴社が出店を予定されているイスラエルの店舗において、入植地出身のイスラエル人入植者が雇用される可能性はありますか?また、西岸・ガザ地区パレスチナ人の雇用は予定していますか?
  6. 今年2月18日付のイェディオット・アハロノット紙英語版の記事によると、貴社は、海外における最初のフランチャイズ契約をイスラエルのLDI社と交わされているそうですが、これまで、サンリオのブランド商品がイスラエル入植地で生産されたり、販売されている可能性はありますか? そもそも、そのような可能性を排除するために、これまで何らかの具体的対策をされたことはありますか?
  7. 上記LDI社や今回の出店計画における提携企業、あるいは、それらの系列企業が、パレスチナ占領地における違法入植やイスラエル軍に関係するビジネスに関わっているかどうかの調査・検討はされましたか?
  8. 提携企業が、現時点においても、そして今後も、そうした戦争犯罪国際法違反への加担となるビジネスに関わらないという保証は、契約内容に盛り込まれていますか?
  9. パレスチナ人に対する人権侵害・戦争犯罪行為は、今後より深刻なものとなっていく可能性が強く、それに伴い、イスラエルに対するボイコット・資本引き揚げ・経済制裁をもとめる国際的な世論がますます大きくなっていくことが考えられます。そうした状況においても、貴社は、イスラエルにおけるビジネスの継続をあくまでも追及されるつもりですか? あるいは、状況に応じて契約を中止されることも想定されていますか?

イスラエル出店をされる前に、以上9項目の質問に対して、貴社が誠実に回答し、消費者に対する説明責任を果たされることを強く要請します。また、万が一、貴社がこれらの質問に対して、十分な回答をできるだけの状況認識をもつことなく、イスラエル出店を考えられていたのであれば、ただちに出店計画を中止されることを心から要請させていただきます。なぜなら、まさかあり得ないとは思いますが、これらの質問に対して、十分説得力のある回答がなされないまま、イスラエル出店が強行されるようなことにでもなれば、私達は、貴社がパレスチナ人に対する差別・アパルトヘイト政策を確信的に追認していると見なさざるを得なくなってしまうからです。

そのような事態は、貴社が、世界中の平和を希求する人々から指弾され続けるアパルトヘイト推進企業へと堕してしまうことを意味します。そして、そのことは、ハローキティなど貴社のキャラクターに対し、その「純真」「無垢」なイメージによって、身近に親しんできた多くの子供たちを悲しませることであり、決して私達が望むことではありません。

貴社からの誠実な回答を心よりお待ちしております。

2011年6月13日(月)
パレスチナの平和を考える会

【基本情報】あり得ない! こんなに非常識なサンリオのイスラエル出店

血まみれの出店経緯

イスラエル軍パレスチナ占領地で大虐殺を繰り広げていた2001年、現地企業とフランチャイズ契約を結び、テルアビブに出店しました(数年後、運営方針をめぐりサンリオ本社と衝突し、撤退)。

イスラエル軍ガザ地区およびレバノンで大虐殺を繰り広げていた2006年頃、イスラエルのLDI社とライセンス契約しました。

2011年5月から6月にかけて、シリア領ゴラン高原で帰還を求めるパレスチナ難民の非暴力デモに対するイスラエル軍の2度の攻撃で約50名が虐殺されている最中、テルアビブ近郊の町ギヴアタイムへの出店計画を着々と進め、7月3日に公式オープンしました。

アパルトヘイトを象徴するサンリオ・ショップ1号店

「サンリオ・ショップ」1号店は、ギヴアタイムのショッピング・モールの中に7月3日に開店。現地企業担当者によれば、2011年中に8〜10店舗、「近い将来」に18店舗を開店する計画とのことです。

ギヴアタイムは、イスラエルのなかでも特に富裕層が多く暮らしている高級住宅地です。ユダヤ人入植地として始まった地域であるため、イスラエル土地法によってパレスチナ系住民による土地購入は原則として禁じられていると思われます。しかし、町の10キロ東方には、アパルトヘイト・ウォールで四方を取り囲まれたパレスチナ人の町カルキリアがあり、60キロ南方には、イスラエルの封鎖によって失業率45%を超すガザ地区があります。もちろん、これらの地域に住むパレスチナ人が「サンリオ・ショップ」に行くことは許されません。

パートナー企業は戦争犯罪企業エル・アル航空と同系列

今回の出店とは別に、すでにライセンス契約を交わしているLDI社の親会社 Mapal Communications は、エル・アル航空と同系列資本(Knafaim)の会社で、経営トップの二人はエル・アル航空の幹部です。

エル・アル航空は、イスラエルの武器の輸出入を担うなど、イスラエル軍と密接な関係をもっています。現CEOは、元イスラエル空軍司令官のエリエゼル・シュケディで、第二次レバノン侵略戦争の際の住民虐殺に責任を負う戦争犯罪人です。
http://wanted.org.il/eliezer_shkedy_en.htm

サンリオの連絡先

株式会社サンリオ 広報・IR室 広報課
TEL: 03-3779-8110
FAX: 03-3779-8426

Email: web-info@sanrio.de
イスラエル出店の業務を直接担っているヨーロッパ・オフィスのメール・アドレスです。日本語でも読んでもらえるとのことです)

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関連資料

・『イェディオット・アハロノット』記事(2011年2月18日、英語)
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4020548,00.html
・『イェディオット・アハロノット』記事(2011年6月2日、ヘブライ語
http://www.ynet.co.il/articles/0,7340,L-4076457,00.html
・『イェディオット・アハロノット』記事(2011年6月25日、英語)
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4083581,00.html
・サンリオ・コンプライアンス宣言
http://www.sanrio.co.jp/corporate/compliance/charter.html
イスラエルBDSの呼びかけ文(パレスチナ情報センター)
http://palestine-heiwa.org/doc/20050709_badil_rc_al-majdal.html